写真・図版
中津川に架かる3連の鋼橋「平山橋」。この日は大雨の後で川の水量が増していた=2024年9月2日、神奈川県愛川町田代、中島秀憲撮影

 建造からまもなく100年を迎える鋼の橋には、あちこちに穴や傷がある。終戦間際、飛来した米軍機の機銃掃射を受けた弾痕だ。神奈川県愛川町田代の中津川に架かる平山橋。当時10歳だった大矢彪(たけし)さん(89)は、その日のことを鮮明に覚えている。

 1945年7月10日正午過ぎ。7人兄弟の末っ子だった大矢さんは平山橋近くの実家の履物店で、昼寝をしていた。激しい音に気付いて奥の部屋から店の方に出ると、土間が血の海になっていた。

少年が見た光景は

 役場の命令で、店先の部屋を…

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