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入院中の父(右)を見舞う母(手前)と兄=埼玉県内の病院
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それぞれの最終楽章 父を看取って(6)

朝日新聞記者 佐藤陽

 昨年1月6日(土)の早朝5時ごろ。僕の携帯電話が鳴った。「何だろう、この時間に」と思って、寝ぼけながら電話に出た。

 「こちら救急隊です。お父様が呼吸困難に陥り、救急搬送しています」。一気に目が覚めた。

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 そして、こう問われた。「気管挿管をしますか?」。僕は一瞬躊躇(ちゅうちょ)したが、父が日本尊厳死協会に入会しており、延命治療について記した文書のなかで「気管挿管は希望しない」と書いていたことを思い出し、「気管挿管はしないでください」と伝えた。

 気管挿管とは、口や鼻から気…

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