温帯気候の日本には、一年中葉をつけている常緑植物と、冬場に葉を落とす落葉植物がある。といっても常緑植物の一枚一枚の葉にも寿命がある。いつどういう形で新しい葉に切り替わっていくのだろうか。京都大の若手研究者が3300枚余の葉を4年半にわたり観察を続けたところ……。
挑んだのは、当時大学院生だった京大生態学研究センター特定研究員の湯本原樹(げんき)さん(31)。
落葉植物は、光合成に有利な夏を中心に葉が大きくなり、不利な冬が近づくとエネルギーの消耗を避けるため、「老化」して落葉し冬を越す。常緑植物の葉にも寿命があるが、新旧の葉がどう入れ替わっているかはよくわかっていなかった。
研究対象にした常緑植物は、兵庫県多可町に自生するアブラナ科のハクサンハタザオ30株。実験に使われることが多いモデル植物のシロイヌナズナの近縁種にあたる。葉一枚一枚に印をつけて、いつ葉が出てきたのか、いつ寿命を迎えたかを1週間ごとに調べ、4年半にわたり3334枚の「生死」を観察し続けた。
気温や日照時間、葉が出始めた時期、葉が枯れた時期、葉の成長スピードを時系列にして分析したところ、日照時間が11.4時間となるのを境に生育期(3~9月)、越冬期(10月~翌年2月)に分けられ、生育期は葉の寿命は短いが、越冬期は「老化」が停止し寿命が長いことがまずわかった。
なぜそうなるのか…