静岡県の城ケ崎海岸、富戸で定置網漁を見学するChefs for the Blueのメンバーたち=2024年2月、Chefs for the Blue提供

記者コラム「多事奏論」くらし報道部記者・長沢美津子

 昼下がりの東京・霞が関に、ピシッとのりのきいた白衣やコックコートの一団の姿があった。一線で活躍するシェフたちが、国に「提言書」を届けにきた。

 チームの名は「Chefs for the Blue」。料理のジャンルもさまざまな東京と京都の約40人が、持続可能な海のための啓発活動をしている。水産庁長官に訴えたのは、料理したくても「魚が手に入らない!」。ヒリヒリするほど肌で感じる資源の危機だった。

 メンバーは、いま動かなければという問題意識から集まっている。市場に並ぶ魚が、全体に小さくなった。質に満足いかない日が増え、価格は高騰。漁獲量はあれも、これも、右肩下がりである。

 四季折々、多様な魚を扱うことを、世界の料理人がうらやむ。日本で料理をする大きな強みだ。産地を訪ねれば、浜を守りながら漁を続けていこうとする漁業者に出会い、刺激を受ける。

 提言の1番目に、魚の資源調査と評価、管理体制を強化して、人も予算も拡充すると書いた。見えない海のなかを見えるように、科学の力を使ってほしい。

 対象は水揚げの多い魚種に限らず、地域に根づいた魚を加えること。その地の生態系も、漁の技術を含めた魚の文化も、一度失うと取り戻すのは難しい。

 魚が減る理由は、乱獲、気候…

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