ペルーの日本人入植地カニエテの村人。「日本人なのに、日本語を忘れた」とスペイン語で話した=1963年、中谷吉隆さん撮影

 20世紀なかば、日本から多くの移民労働者が渡った南米で、日系人たちの暮らしを取材した写真家がいる。中谷吉隆さん(87)。1963年にペルーにわたり、ブラジル、ボリビア、ドミニカ共和国などを約5カ月間かけて回った。

  • 約60年後、日本で暮らす日系人たちを取材した中谷さんが思いを語った

 中谷さんが撮影した写真を見ると、ブラジル・サンパウロの日本人街にはパチンコ店があり、ボリビアの教会には鳥居が設けられているなど、当時の日系人社会独特の光景が確認できる。

 ボリビアの日本人移住地では原生林をのこぎりで開拓していく人たちがいた。

 「過酷な環境の中、ここで暮らすと腹を決めた人たちの気概のあり方に感銘を受け、尊敬の念を抱きました」と、中谷さんは話す。

 中谷さんの写真展「125年の絆―日本で活躍する中南米の日系人の今日―」、「蒼氓(そうぼう)60年―南米の日本人―」は、10月4~17日、東京都港区赤坂の富士フイルムフォトサロン東京スペース2、3で開催される。午前10時~午後7時(最終日は午後4時まで)。入館料は無料で、5、6、12、13日には中谷さんのギャラリートークも予定されている。(西岡臣)

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