
九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の運転差し止めなどを九電や国に求めた訴訟で、原告らは5日、一審・鹿児島地裁判決を不服として、福岡高裁宮崎支部に控訴した。原告らは記者会見を開き、「原子力規制行政に追従した不当な判決」などと話した。
2月21日の一審判決は川内原発の耐震性や運用期間中に破局的噴火が起きる可能性などについて、「放射性物質が周辺環境に異常な水準で放出される事故が発生する具体的危険性があるとは認められない」として原告側の訴えを退けた。
原告弁護団の森雅美共同代表は会見で「住民側の主張をねじ曲げて解釈し、その上で排斥している点が多々見られる」などと批判。原告団長の森永明子さんは「判決に心が折れそうになったが、裁判を盛り上げる活動を続けていきたい」と語った。鹿児島や宮崎、熊本を中心に計3036人に上った原告のうち、地元を中心に165人が控訴したという。
訴訟の争点は、ほかにも原子炉の安全性、避難計画の実効性など多岐にわたり、2012年5月の提訴から判決まで13年近くかかった。弁護団は訴訟期間の短縮を目的とした争点の絞り込みは行わない方針で、白鳥努弁護士は「原発にはこれだけの問題があるということを裁判所に理解してもらう」と話した。