ケーキをしっかり固定する対策をして、2024年に販売された「レ・サンス フレーズリボンショートケーキ」=高島屋提供

 昨年のクリスマス、大手百貨店の高島屋がネットで販売した冷凍ケーキが崩れた状態で届いた。返金対応は1100件に上り、「特定は不可能」と原因もはっきりしない。ただ、今年も同じ監修シェフや製造工場らのチームで、商戦に挑んだ。そこには苦境を経験したからこその思いがあった。

 昨年のケーキは税込み5400円で、2879個が売れ、クリスマスまでに冷凍状態で届けたが、SNSでは「ぐちゃぐちゃに崩れていた」などのコメントが相次いだ。同社はケーキの温度管理や配送状況などを調べたほか、外部機関でのケーキの振動・強度実験を追加で行ったが、原因の明確な特定には至らなかった。

 そして迎えた今年のクリスマスシーズン。高島屋は昨年と同じく、横浜市のフランス料理店「レ・サンス」が監修し、埼玉県羽生市の菓子メーカー「ウィンズ・アーク」が製造したケーキを販売した。昨年の経験があったからこそ、信頼回復に向けた再発防止策を行えるという決断だったという。

 今年のケーキは下段に土台となるスポンジケーキを置き、安定性を高めた。試験では問題なかったが、万全を期すために冷凍期間を昨年の20時間以上から2週間に延ばした。台座を固定する留め金も増やし、内箱の中でケーキが動かないようにしっかり梱包(こんぽう)した。

 「レ・サンス」の渡辺健善オーナーシェフによると、昨年の騒動後に、全国から多くの手紙やメールがあったが、大半が応援や励まし、ケーキをまた食べたいという期待の声だったという。「本当に勇気づけられた。その声があったからこそ、もっといいものを作りたいという気持ちや、期待に応えたいという思いが強くなり、今年のケーキの販売につながった」とコメントした。

千個が完売、「今年こそは笑顔で」

 10月から販売した「フレー…

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