大船渡市綾里地区の山林火災で、消火作業にあたる多数のヘリの安全飛行を支える陸上自衛隊のレーダー車=2025年3月3日、岩手県大船渡市末崎町、西堀岳路撮影

 自衛隊や消防、県の防災ヘリが消火作業のため多数飛び交う岩手県大船渡市の山林火災の上空。衝突事故などが起きないよう、現場で安全飛行をサポートしているのが陸上自衛隊の東北方面管制気象隊(仙台市)だ。

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 幾筋もの煙が山林から上がる大船渡市三陸町綾里地区から狭い海面を挟んだ対岸にある漁港で、迷彩色のトラックに載ったレーダーが回る。隣のトラックの荷台に設けられた管制室では、隊員たちがレーダー画面をにらみ、無線でヘリと交信する。

 「○○○(各ヘリ固有の機体番号)、消火地点に9機います。高度帯は2千から3千フィートです」。ヘリ同士が接近する場面を見てとると、呼び出して他機の位置や高度などを知らせ、注意を促す。刻々と変わる雲の高さや量、風向などの気象情報も伝える。レーダー設置場所から半径約5・6キロ、高度約610メートル以下の空域を担当し、報道機関のヘリにも消火作業のヘリの位置を知らせる。

 「基本的に各機の安全確保は操縦士が目視で行っていて、その安全をサポートするのが我々の役目です」と、現場指揮者の陸曹長(49)。県によると消火にあたるヘリは、3日は自衛隊を含め計17機。すぐ近くの海面でつり下げたバケット(バケツ)に水をくんで、続々と燃えている地点へ向かう。「火点(消火する場所)にヘリが集まると、特に緊張します」という。

 陸曹長は「一日も早い終息を願いつつ、それまで消火作業の安全を全力で支えていきたい」と話した。

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