教員養成に特化した「教育学部」への改組を発表する山形大学の玉手英利学長=2024年10月31日午前11時4分、山形市、安斎耕一撮影

 山形大に「教育学部」が約20年ぶりに復活することになった。31日、現行の地域教育文化学部を改組する形で、教員養成に特化した新生の教育学部を開設すると発表した。2026年春の開設を目指す。

 山形大は母体の一つに山形師範学校、山形青年師範学校があり、教育学部は1949年の開学時から設置された。他大学との再編・統合協議を発端に2005年度、教育学部を地域教育文化学部に改組した経緯がある。地域教育文化学部には児童教育コースと文化創生コースがあり、教員免許取得が卒業要件となるのは児童教育コースだけだった。

 学部名が復活することについて、出口毅理事は「改組から約20年が経過し、教育環境も変わった。これほどの変化は予測できなかった」と話す。

 近年、急激な人口減少による地域社会の変化が進み、子どもの多様な課題の解決を担う教員の養成が大学に求められるようになってきた。一方で教員採用は厳しい状況が続いており、県によると県内の公立学校教員選考試験の志願倍率は、25年度採用は小学校で1・5倍、中学校で2・7倍と低調で推移している。

 新しい教育学部では、小中一貫教育の増加に対応した複数免許の取得奨励、総合大学の強みを生かしたデータサイエンス、地域協働に強い人材育成などに特色を出すという。

 出口理事は「かなりスピード感を持った改革が必要。大学の教員養成機能の強化を図り、教員需要の高まりに応えていきたい」と話す。学部名の変更で「受験生から見ると、シンプルでわかりやすい看板が大事と考えた。教員になるということを意識してもらえるところもいい」という。

 新しい教育学部の入学定員は、現行の地域教育文化学部と同じ165人。その中で、小学校、中学校、高校の教員を目指す「学校教育教員養成課程」で120人、学校や地域の支援ができる人材育成を目指す「地域教育共創課程(仮称)」で45人をそれぞれ募集する。教員養成課程では、小学校や中学校の教員免許の取得を卒業要件とする方針。

 教育学部への改組の動きは、福島大学が27年度を目標に、現在の「学群・学類」を改組して新たに四つの学部に再編する方針を示しており、人間発達文化学類は教育学部に移行する予定になっている。(安斎耕一)

共有
Exit mobile version