雨がいったんやんだ日没前。11月16日夕のことだ。
大阪市立巽東小学校(生野区)の仲良し3人組、2年の西井叶愛(とあ)さん(8)と都皇誠(みやここうせい)さん(8)、弟で1年の都一誠(いっせい)さん(6)は、自宅近くで一緒に遊んでいた。
ふと、一誠さんが、公園そばの路上にたたずむ小さな人影に気付いた。
ひとり自転車にまたがる薄着の男の子。自分たちより年下だろうか。雨にぬれ、心細そうにしくしく泣いていた。
「かわいそう。心配だな。大丈夫かな」
3人組は男の子に近寄り、「おかあさんはどうしたの」と声を掛けた。
でも、男の子は泣きやまず、はっきりと聞き取れたのは名前だけ。
困ったなあ……。
そのとき、叶愛さんは母の言葉を思い出した。 「何かあったら交番に行くんだよ――」
そうだ、男の子の家はわからないけれど、交番なら近くにある。
「一緒に行こう、ついてきて!」
3人組は、寒さと不安で震える男の子を励まし、300メートルほどの道を進んだ。途中、家や親の手がかりを見つけようとあれこれ尋ねたが、男の子は「わからん……」と言葉少ななまま。
ともあれ交番に着き、「この子、迷子です」と警察官に託した――。
それから1カ月経った12月16日、3人組は校庭で開かれた全校集会で、大阪府警生野署の村岡修一署長から感謝状を手渡された。
署によると、男の子は6歳の保育園児で、当日中に家族の元に戻ることができたという。親が目を離したすきに家を出て、1キロほど離れた場所で迷子になっていた。
村岡署長は「優しさと勇気に感心した。おかげさまで男の子が事件や事故に遭わずに済んだ」と3人をたたえた。
叶愛さんは感謝状を手に「無事で良かった」と笑顔。皇誠さんは「(贈呈式は)恥ずかしかった」、一誠さんは「優しい大人になりたい」と照れた様子で話した。