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A級からの降級が決まった稲葉陽八段=2025年1月29日午前0時15分、東京都渋谷区の将棋会館、北野新太撮影

 将棋の第83期名人戦・A級順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)の8回戦全5局が28日、東京と大阪の両将棋会館で一斉に指され、稲葉陽八段(36)のB級1組への降級が決まった。

 A級順位戦はトップ棋士10人によるリーグ戦で、優勝者は名人への挑戦権を獲得し、下位2人はB級1組へ降級する。

 稲葉八段はこの日の対局で増田康宏八段(27)に敗れて2勝6敗に。残留を争っていた菅井竜也八段(32)と中村太地八段(36)が勝利したため、B級1組への降級が決まった。対局後、稲葉八段は「苦しい将棋が多かったので仕方がないかなと思います」と語った。

 稲葉八段は、飛車を初期配置のまま戦う居飛車党の棋士だったが、今期A級順位戦では飛車を中央や左辺に動かす「振り飛車」を多用してきた。この点について「昨年から成績が苦しい中で何かを変えようという気持ちでしたが、結果的にうまくいきませんでした」とし、苦戦の要因については「振り飛車が理由というよりも、中終盤の読みの力で負けることが多く、根本的な将棋の力をちゃんとつけないと厳しい」と話した。

 稲葉八段は今期がA級在位8期目。初参加となった2016年度のA級順位戦で優勝し、17年の第75期名人戦で挑戦者となった。

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