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 北海道土産として全国の家庭に広がった木彫り熊。だが、制作や販売の歴史はほとんど知られていない。それは学術的な研究がほとんどなされてこなかったことも一因だ。多様な資料の収集・分析と聞き取り調査をもとに、木彫り熊をめぐる歴史と文化を知ることができる本ができた。

 その「開講!木彫り熊概論 歴史と文化を旅する」を編著したのは、国立アイヌ民族博物館(北海道白老町)でアソシエイトフェロー(任期付き研究員)として展示企画や調査・研究に携わる田村実咲さん(29)だ。出身の北海道大学大学院文学院文化多様性論講座博物館学研究室が編集協力した。

 「現在道内で生産される木彫り熊は、年間約二五〇万個、ザット一五億円」

 1976(昭和51)年の観…

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