アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)で演説する米国のオースティン国防長官=2024年6月1日、シンガポール、浪間新太撮影
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 シンガポールで1日、2日目の議論に進んだ「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」(英国際戦略研究所主催、朝日新聞社など後援)で意識されたのは、米中の利害が直接ぶつかり合うインド太平洋地域にとどまらない。この地域の緊張が、欧州と中東の危機と連動しながら高まる状況を見据え、米中を軸とした戦略のつばぜり合いが展開された。

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 「欧州と中東で起きている歴史的な軍事衝突にもかかわらず、インド太平洋は依然として私たちの優先的な作戦地域だ」

 オースティン米国防長官は1日の演説でそう強調した。「にもかかわらず」と逆接で言及したのはなぜか。バイデン米政権はもともと「唯一の競争相手」とみなす中国に注力しようとしていたが、ロシアのウクライナ侵攻や、イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスの軍事衝突が勃発した。欧州、中東、中国の「三正面」の対応を迫られる苦境に陥り、米国の友好国の間で不安がくすぶる。

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