自然災害が多い日本の子どもたちに、災害を乗り切る力を身につけてほしい。東日本大震災のあと、宮城県の女性研究者が減災の大切さを伝える「出前授業」を始めた。訪れた学校は小中を中心に12年目で400を超えた。
「50センチの津波なら逃げなくても、家の中でしのげるのでは。そう思ったことで大きな犠牲を生んでしまったのです」
津波で町ごと流されてしまった震災直後の写真を前に、東北大災害科学国際研究所プロジェクト講師の保田真理さん(68)が説明すると、生徒たちは静まりかえった。
常葉大橘中(静岡市葵区)の約200人が11月下旬、減災教育の出前授業を受けていた。
聞いている中には、震災当時生まれていない生徒も多い。「経験のないことに対応するのは難しい。でも、日本に住む以上、地震とは共存せざるを得ない。家族のみなさんと、いざというときのことを話し合ってほしいのです」
保田さんの授業を受けた1年生の石原莉緒奈さん(12)は「津波の対策もしていた東北で想像を超える被害が出たと知って、怖かった。避難場所や経路を家族と確認したい」と気を引き締めた。
保田さんが研究所の前身組織…