要町あさやけ子ども食堂の山田和夫さん(右)とボランティアたち=2024年12月4日午後5時47分、東京都豊島区、三宅梨紗子撮影

 無料や低額で食事を提供する「子ども食堂」が全国で1万カ所を超えた。コロナ禍や物価高の逆境でも増え続けたのは、食事をする場所だけにとどまらず、世代を超えた地域の「居場所」として浸透してきた背景がある。国や自治体もその意義を認めて支援している。

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 充足率が約62%と全国で最も高い沖縄県。15年の県の調査では、貧困率が全国平均の約2倍(29・9%)という結果が出た。

 16年には県が30億円の「子どもの貧困対策推進基金」を作り、内閣府も10億円を出した。

 それらを原資に各市町村が子ども食堂の立ち上げなどを支援。24年には361カ所と、18年の127カ所から約3倍になった。

 県こども家庭課の担当者は「貧困を家庭のみの責任とせず、社会全体の問題として捉える機運が高まってきた。まだ道半ば。今後も支援を継続していきたい」と話す。

 国の支援は他にもある。農林水産省は、学校給食向けに配っていた政府備蓄米を20年から子ども食堂にも配っている。コロナ禍では給食がなくなり、補完する役割を子ども食堂が担った。今もニーズが高いとして続けている。こども家庭庁や厚生労働省も、運営などの助成金を出す。

 「いつも目標は70点。肩ひじ張らず、楽しんでやることが続けられる理由かもしれない」。東京都豊島区で13年から月2回の「要町あさやけ子ども食堂」を続ける山田和夫さん(76)は言う。

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