世界中で肥料や繊維の原料として、大量につくられているアンモニア(NH3)。その基本的な製法は100年以上変わっていない。水素(H2)と窒素(N2)を直接反応させる「ハーバー・ボッシュ法」だ。
弱点は、およそ400度、200気圧以上という高温、高圧にしなければならないこと。大きなエネルギーが必要になる。電気分解を活用した別の製法などが模索されているが、本格的な実用にはつながっていない。
そんな中、大阪大学の白石康浩准教授(光触媒化学)らは、工業排水にも多く含まれる硝酸と太陽光エネルギーを使って簡単にアンモニアをつくる方法を開発し、今年4月、米化学誌に発表した。
大阪府北部の豊中キャンパスにある研究室をのぞくと、赤茶色の溶液に太陽光に似せた光が当てられていた。
「この中で少しずつ、アンモ…