春季近畿地区高校野球大会奈良県予選(県高校野球連盟主催、朝日新聞社など後援)の決勝が12日、橿原市の佐藤薬品スタジアムであり、天理が橿原を18―6で破って、13年ぶり24回目の優勝を果たした。天理は、今月25日に明石トーカロ球場(兵庫県明石市)で開かれる近畿地区大会に出場する。
打線が爆発した天理は一回、松本の2点適時打や大谷の3点本塁打など打者15人の猛攻で9点を奪うと、二回にも大谷が3点本塁打を放つなど7点を追加し、一気に突き放した。
橿原は七回に西川の2点適時打などで4点、八回には東元の中前適時打などで2点を返して意地を見せた。
決勝の前に3位決定戦があり、橿原学院が11―6で郡山を下した。(佐藤道隆)
◇
天理の大谷汰一(3年)が1試合で2本の3点本塁打を放つという離れ業を見せた。
最近はバッティングの調子が良くなかったという。準決勝の後、藤原忠理監督から「思い切って気軽にやってみなさい」と言われ、打順は準決勝の5番から6番に。それが功を奏した。
一回の1本目は、「インコース低めの球で、外野フライを打とうと思ったらいい結果になりました」。二回は「しっかり振れて、チームの勢いにもつながった。うれしいの一言」と喜んだ。
冬は柔軟のトレーニングに力を入れた。筋肉をやわらかく使えるようになったことで、スイングスピードが上がった。コーチからはタイミングの取り方を教えてもらい、自主練習でも打撃の量を増やし、感覚を養った。
「近畿大会での優勝が目標」とさらなる高みを目指している。藤原監督は「身体能力が高く、粘り強い彼の姿勢に期待している」と話した。
◇
18点を追う七回表、橿原の吉岡一輝(3年)が流れを変えた。
「少しでも塁に出てつなごう」。そう思って振った球は内野安打に。長江宗一郎(2年)の適時打で生還すると、ベンチもスタンドも大盛り上がり。橿原はこの回、4点を返した。
決勝の舞台は初めて。「みんなで楽しくやろうと話し合ったけど、相手のペースにのまれてしまった」。夏のリベンジを誓う。
◇
戸田泰聖主将(橿原学院) 二回に7点を返し逆転。「ベスト8だった秋の大会からは成長できた。チームの課題は送球の弱さ。キャッチボールからしっかりやり直したい」
古賀誠太主将(郡山) 12安打だが、長打はなかった。「相手にペースをにぎられてしまった。どんなピッチャーを相手にしても自分たちの打撃を貫けるように、スイング力を上げたい」