地域政党・大阪維新の会が、大阪市を廃止して特別区に再編する「大阪都構想」の新たな制度設計について、党内で検討を始めることになった。過去に2度住民投票で否決され、「封印」を余儀なくされてきた看板政策を再び持ち出した背景には、低迷が続く党勢への強い危機感がある。
- 本拠地・大阪の地盤揺らぐ維新 府内で「全勝」も募る強い危機感
「大阪のあるべき姿、成長する副首都とはどういうものなのか。都構想の案について内部で検討していく」。吉村洋文代表(大阪府知事)は20日の記者会見でこう語った。
この前夜、吉村氏は大阪維新の代表選で再選。自身の公約として党内で検討チームを立ち上げ、半年から1年程度の間に制度案を検討していくと表明していた。ただし、「3度目の大阪都構想に挑戦しますという宣言ではない」とも説明。党内でまとめた制度案で都構想を掲げるかは「今の段階で何か決まったものはない」とし、慎重に検討していく考えを示した。
維新は、都構想によって府と大阪市による「二重行政」をなくし、大阪を東京に並ぶ「副首都」として発展させたいとの考えがある。しかし過去に2度賛否を問う住民投票に挑んだが、いずれも僅差(きんさ)で否決され、党創設者として党を率いてきた橋下徹元代表、松井一郎前代表が政界を去ることになった。
こうした結果を受け、昨春の統一地方選で維新は都構想を封印。その結果、府と大阪市の両議会で初めて過半数の議席を獲得した。維新単独でも再挑戦への議会環境は整ったものの、都構想を掲げずに得た選挙結果のため、再挑戦には「民主的なプロセス」が必要との慎重論がある。
その封印が解かれつつあるのは、都構想が維新にとって「熱源」(吉村氏)であったためだ。
維新は今春以降、府内の地方…