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厚生労働省は26日、高度な医療を提供する「特定機能病院」の基準を見直し、大学病院には「医師を派遣する機能」を追加する方針案を公表した。今後も、地域医療を守っていくため、大学病院に医師派遣を継続してもらうねらいだ。
特定機能病院は、全国に88施設あり、そのうち79施設を大学病院(本院)が占める。医師が通常の2倍ほど配置され、薬剤師や看護師も一般の病院より多い。論文数は年70件以上など、厳しい条件が課されている一方、診療報酬を他の病院よりも多くもらえる。
昔は大学病院がほぼ高度な医療を担っていた。だが、医療の発展に伴い、今は大学病院以外の総合病院も高度な医療を提供している。ただ、大学病院には医学生の教育機能や、研究機能、地域の医療を守るための医師派遣機能といった重要な役割がある。厚労省によると、42国立大学病院から4万6千人、29私立大学から1万5千人の医師が地域の医療機関に派遣されている。
一方で、近年の物価や人件費の高騰で大学病院のほとんどが赤字だ。このままでは自院での診療を優先し、研究力はさらに低下し、医師を派遣できなくなる懸念がある。
このため、厚労省は大学病院…