埼玉大学は31日、2026年度から工学部入試に女子枠を設けることなどを柱とする改革を発表した。大学院には、全国初の「ダイバーシティ科学専攻」を新設する。
工学部5学科のうち、特に女子比率が低い「機械工学・システムデザイン学科」「電気電子物理工学科」(各定員110人)に各7人、「情報工学科」(定員80人)に6人の定員を増やし、女子枠とする。
女子枠は学校推薦型入試とし、出願時の自己PRと面接で主体性や表現力、大学入学共通テストで理数系の基礎能力を評価する。
大学院人文社会科学研究科に新設するダイバーシティ科学専攻では、企業や公共機関で多様性を促進するための人材や研究者の育成を目指す。定員は10人。社会人学生に対応するため、必修科目はオンデマンド講義を中心にする。
その他、教養学部に「心理学とジェンダー」を軸にした「共生構想専修課程」を新設し、定員を160人から200人に増やす。学校段階別に分かれていた教育学部のコースは、小中学校両方の免許が取れる「教科教育コース」とICTや特別支援教育などの「学校教育コース」に再編する。
同大によると、今年度の学部生の女子割合は35・3%だが、工学部では12%で、私大も含む全国の工学部の女子の割合16%も下回っている。
坂井貴文学長は「女子がある程度増えるまで、アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)は必要。女子生徒や保護者の背中を押していきたい」と述べた。(杉原里美)