来年の年金制度改革に向け、厚生労働省の社会保障審議会は24日、とりまとめ報告書案を示した。最大の焦点だった基礎年金(国民年金)の底上げ策の実施は、結論を得られず、経済成長が鈍い場合の「備え」と位置づけられた。ただ、同省は来年の通常国会に提出する関連法案に盛り込む考えで、実施の場合には「安定した財源の確保が必要」と明記した。
厚労省の試算では、就業する人の数や賃金上昇のペースが鈍いと想定した場合、将来の公的年金の給付水準は現在よりも約2割減少する見通しで、特に基礎年金の低下が目立つ。そこで同省は、今回の改正議論で基礎年金の目減り防止策を強く打ち出していた。
具体的には、会社員らが入る厚生年金の積立金を使う。年金は人口減少や長寿化に応じて給付を抑えているが、積立金の活用で水準下落を防ぐ考えだ。ただ、支給する基礎年金の半分は国の負担で賄う仕組みのため、増やす場合には将来的に兆円単位で追加の財源確保が必要になる。この巨額の財源をめぐって、財務省や厚労省、与党などが水面下で激しい攻防を続けていた。
報告書案では、底上げ策について「経済が好調に推移しない場合に発動されうる備え」と位置づけた。その上で「さらに検討を深めるべき」だとして結論を避けた。
幹部にとっても「寝耳に水」
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