■現場へ 家裁のリアル②
裁判所は城の近くに建てられていることが多い。
岩手県北部、人口約2万4千人の二戸市にある史跡、九戸城跡の隣にも盛岡家裁二戸支部がある。1975年の建築で、鉄筋コンクリート2階建て。2011年度に耐震改修が必要だと評価されたが、引き続き利用されている。評価の結果は、震度6強から7程度への安全性を満たす「1.0」以上に対して「0.59」だった。
最高裁事務総局によると、13年度に耐震工事を発注しようとしたが業者が決まらなかった。15年度には二戸市から史跡整備で活用したいとの提案があった。市が確保した1キロほど離れた用地と交換したのは22年。25年度中に新庁舎が完成するという。
全国の地方裁判所や家庭裁判所、簡易裁判所には、高度成長期に建てられたものもめだつ。
全国で約600棟ある裁判所の189棟で耐震不足が指摘された。順次、改修や建て替えられているが時間がかかったところもある。
裁判所の予算に詳しい志摩恭臣(やすおみ)弁護士(50)は「予算要求は保守的で、ほかの行政官庁のような積極性を感じない」と指摘する。
裁判所全体の24年度当初予算は約3310億円で、国家予算の0.3%を下回る。当初予算でみると、過去最高額は06年度の約3331億円だった。この間に4割ほど増えた国の予算規模と比べ、抑えられていることがわかる。
裁判所の予算のうち8割以上…