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廊下で練習する習志野高校=2024年10月22日、千葉県習志野市、オザワ部長撮影

 「8番、習志野市立習志野高等学校——ゴールド金賞!」

 10月20日の全日本吹奏楽コンクール高校後半の部の表彰式。アナウンスが響くと、会場に歓声と拍手が広がった。

 ステージ上にいた習志野高の部長、松元真紀(なおき)(3年・トランペット担当)と副部長、石沢凜(りん)(3年・アルトサックス担当)は、顧問の織戸弘和教諭と並んで表彰状・トロフィーを受け取った。

 全国大会の常連、習志野高にとって、2年ぶりとなる全国大会の金賞受賞だった。

 だが、歓喜に湧いた翌日には、真紀は体育館を右へ左へ激しく動き回りながらトランペットを吹いていた。

 全日本吹奏楽コンクールから全日本マーチングコンテストへ。二つの全国大会の間は4週間。

 真紀は55人のコンクールメンバー(Cメン)でありながら、81人のマーチングメンバー(Mメン)も兼任しているのだ。ほかの兼任部員約10人とともに真剣にマーチングの練習に取り組んだ。少しだけ、全日本吹奏楽コンクール金賞の余韻を感じながら——。

【連載】My吹部Seasons

吹奏楽作家のオザワ部長が各地の吹奏楽部を訪ねます。

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 真紀が習志野市内の小学校で吹奏楽部に入ったのは4年生だった。

 「習高のマーチングを見る機会があったんですけど、『僕もここに入ってマーチングをやりたい!』と思いました。それからずっと習高に憧れ続けていました」

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廊下で練習する習志野高校=2024年10月22日、千葉県習志野市、オザワ部長撮影

 習志野市立第二中学校吹奏楽部ではマーチングにも取り組み、中3のときに全日本マーチングコンテストで金賞を受賞した。

 中学を卒業すると、憧れの習志野高に入った。習志野高は吹奏楽コンクールで全国大会の常連でもあったが、真紀がやりたかったのはMメンでマーチングコンテストに出ることだった。

 Mメンは顧問・海老沢博教諭の指導のもと、毎年一つの国をテーマに選曲したマーチングで全国大会に出場していた。真紀は高1で81人のMメンに選ばれると、「アメリカ」をテーマにした演奏・演技で全国大会で金賞を獲得。高2では「イギリス」がテーマで、真紀は先輩とトランペットのソリを務め、またも全国大会金賞に輝いた。

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 順風満帆に見えた真紀の吹奏楽生活だったが、高校生活最後の今年は違った。

 まず、部員193人のトップ…

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