取材ノートから④吹奏楽
舞台は魔物だな、と何度も思わされた。
今年、中高生らの吹奏楽の取材を担当した。コンクール本番を終え、笑みがこぼれるのはほんの一握り。舞台を降りてから、悔し涙が止まらない生徒も多かった。
特に印象に残ったのが、11月の全日本マーチングコンテストに都代表として出場した足立十四中だ。部長でユーフォニアムの木村凌心さん(3年)は、演奏後「みんなに申し訳ない」と座り込んだ。朝から体調は絶不調だった。都大会ではきらきらと輝く音色で「愛の賛歌」のソロを奏でたが、全日本では納得のいく演奏はできなかった。
2024年も残りわずか。この1年の取材で印象に残った出来事を首都圏ニュースセンターの記者が振り返ります。
そんな木村さんに、同級生でドラムメジャーの金穴森叶羽さんは言った。「本番は何が起こるかわからない。木村のせいじゃない。みんな木村の音が大好き。自信を持ってほしい」。このことを伝えると、吹奏楽部顧問の森川凌教諭(32)は「生徒たちは、何より人間関係を大事にしてきた。その思いが詰まった言葉」と話した。
一から見直した部活の体制
木村さんたちは、新体制になると、部活のルールを見直した。
練習の厳しさなどを理由に退…