中国軍が23日、台湾を取り囲む形で始めた軍事演習の様子=軍東部戦区の公式SNSから
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 中国軍が23日朝から、台湾を包囲するような軍事演習を始めた。中国にとっては「独立勢力」と非難する台湾新政権への警告であり、台湾を封鎖して武力統一する能力があることを示すものだ。ただ、現時点で公表している演習の規模や内容は、2年前に米国のナンシー・ペロシ米下院議長(当時)が訪台した際に行った演習とは異なる点もあり、軍事的な緊張がさらに高まるかは見極める必要がある。

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 今回の演習は、20日に台湾の頼清徳(ライチントー)新総統が行った就任演説に反応する形で実施された。中国政府はかねて頼氏を「独立勢力」とみなしてきた。しかし、頼氏が20日の演説で「中華民国(台湾)は主権独立国家」「中華民国は中華人民共和国と互いに隷属しない」と述べて中国を名指しで批判したことで、台湾に対する批判のボルテージをさらに上げており、そうしたなかで軍事的な圧力にも踏み出した形だ。

 今回の演習は、台湾の北部、南部、東部などを取り囲むように5カ所の区域が設定された。元駐中国防衛駐在官で、笹川平和財団の小原凡司・上席フェローはこの配置について、「中国軍は、台湾を海上封鎖する軍事的なプランがあることを示している」と指摘する。

 また演習は、台湾の離島で中…

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