Be Ambitious!:1 藍屏芳(ランピンファン)さん 台湾→知床
北海道・女満別空港からウトロに向かうバスの中。左側の窓から見える流氷の美しさに思いがこみ上げた。知床に戻ってくるのは3回目。
「帰ってきたな。やっぱりここに住みたいな」
台湾出身の藍屏芳(ランピンファン)さん(33)が初めて知床に来たのは10年前。テレビでたまたま見た流氷に心を奪われた。
故郷は台湾の最南端・屏東(ピンドン)県で、パイナップルやパパイアが1年中収穫できる温暖な気候だ。
10代の頃、台湾は空前の日本ブームだった。高校生のうちから、日本語の新聞を読み解けるまでに語学力を磨き、1年間のワーキングホリデーで日本各地を訪れた。
その一つが知床だ。だが、流氷ツアーガイドの仕事で言葉の壁にぶつかる。一緒に働く船長は60代以上の元漁師。たくさん話しかけてくれるが、なまりが強く全然わからない。無線を通すと、なおさらわからなかった。
それでも1カ月半暮らしてみると、人の温かさこそが、本当の魅力だと感じるようになった。
一度は台湾に戻ったが、2016年に就労ビザで2回目の知床へ。漁師ことばを理解するまでに時間がかかったが、おいしいものが手に入ったら「食べて」、坂道を歩いていたら「車乗るか?」、散歩をしていたら「トウキビ持ってけ」。やっぱり温かい。
でも、2年間暮らして不安になった。「楽しいままでいいのかな? もう少しチャレンジしてみよう」
夢をかなえたい。パッションを追い求めたい……。そんな思いで、海の向こうから北海道にやってきたYOUたち。次回はフランスから厚真町に移住し、本場のパン屋を開業した夫婦の物語です。1月17日午後6時、配信予定です。
カナダでのワーキングホリデ…