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話を作るきっかけになった30年以上前の新聞を手に、風船爆弾について話す宝井琴梅さん=2024年7月8日午後1時18分、埼玉県川越市連雀町の蓮馨寺、贄川俊撮影
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 埼玉県川越市の古刹(こさつ)で月1回、40年以上にわたって屋外での「辻講釈」を続ける講談師がいる。宝井琴梅さん(82)。戦後79年を迎える今夏は、約30年ぶりに反戦講談をしている。「あと何年講談ができるか分からない。自分にしか語れない戦争を語りたいと思うようになった」。今月8日にも披露する予定だ。

 県内各地で猛暑日となった7月8日午後。川越市連雀町にある蓮馨寺(れんけいじ)の境内で、約30人を前に琴梅さんが話し始めた。

 「今度、軍では和紙で風船を作ることになった。ついてはお前にその紙を作ってもらいたい」

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