安倍晋三元首相が参院選の街頭演説中に銃撃され死亡した事件から2年になる。事件では選挙警備や要人警護が問われたが、今年4月の衆院補選では「つばさの党」の選挙妨害事件も起きた。実施中の東京都知事選の現場は様変わりしている。
6月29日午後5時、JR北千住駅西口(東京都足立区)の広場で開かれた候補者の街頭演説。土曜の夕方、約1200人の聴衆が集まった。
立ち止まって演説を聞くことができるエリアは柵で囲われ、出入り口付近の警察官と陣営スタッフが「ご協力お願いします」と聴衆に呼びかけた。エリアに入ろうとする一人ひとりに金属探知機をあて、リュックサックなど手荷物の中身を調べる。
雑居ビルを背に演説する候補者は、聴衆と一定の距離が保たれた。エリア外ではスマホを高く掲げて候補者を撮影したり、「神宮外苑伐採反対」などのプラカードを掲げたりする人がいたが、大きな混乱はなかった。
衆院補選では「つばさの党」事件
目立ったのは警察官の姿だ。候補者が立つ演説台の周囲では背後も含め約15人の警察官が警戒。少し離れた場所でも数メートル間隔で警察官が配置されていた。
こうした警戒は、政党の代表らが訪れる会場で特に強まり、各地で金属探知機を手にした警察官の姿がみられた。
都知事選ではこれまで、「つばさの党」事件のような選挙妨害は起きていない。警視庁幹部は「選挙の公正が保たれるよう、情勢に応じた選挙警備に万全を期す」と話す。
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