横浜地裁前で、「差止め認めず」の旗を掲げる原告弁護団ら=2024年11月20日午後2時43分、横浜市中区、杜宇萱撮影

 米軍と自衛隊が共同で使う厚木基地(神奈川県綾瀬市、大和市)の騒音被害を巡り、周辺住民約8700人が米軍機と自衛隊機の夜間・早朝の飛行差し止めと損害賠償を国に求めた「第5次厚木基地爆音訴訟」の判決で、横浜地裁(岡田伸太裁判長)は20日、国に賠償を命じた。一方、飛行差し止めは認めなかった。

 最大の騒音源とされてきた米空母艦載機部隊の岩国基地(山口県)への移駐が2018年に完了し、その後の騒音をどう評価するかが5次訴訟の争点だった。

 住民側は「騒音問題は解消にはほど遠い」と主張した。国は「移駐で騒音は大幅に低減した」と反論していた。

 騒音訴訟は1976年に始まり、4度の裁判はいずれも「騒音は違法」と賠償を命じてきた。

 自衛隊機の飛行については、4次訴訟の一審・横浜地裁判決が、夜間・早朝に限り全国で初めて差し止めを認め、二審・東京高裁も維持した。最高裁は公益性や騒音被害の程度、防音対策などを総合的に考慮して退けた。

 米軍機の飛行差し止めは「国が米軍に基地の使用を許可する仕組みではない」として4次訴訟まで退けられてきた。(中嶋周平)

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