南極で科学的調査活動を続ける国々が集まる南極条約協議国会議の2026年の開催地が、広島市に決定し、23日発表された。南極条約は、軍事基地の建設を禁じるなどの平和的利用、領土権主張の凍結、環境保護などをうたい、「国境と紛争がない南極」を守ってきた。世界各地で紛争が絶えないなか、条約の意義はいっそう強まっている。
26年会議の開催地は公募で選ばれた。上川陽子外相は23日の会見で「南極条約は、南極の平和的利用、国際協力、核爆発・放射性物質の処理の禁止を基本原則としている。『国際平和文化都市』を掲げる広島市は、条約の精神にふさわしい開催地と考える」と話した。同市の松井一実市長は、24日の会見で「世界恒久平和を願っている広島の心を広く伝えられる絶好の機会」と語った。
南極条約は、1959年に日本を含む12カ国が署名し、61年6月に発効。現在は56カ国が署名している。協議国会議は年1回開かれ、日本開催は70年の東京、94年の京都以来、32年ぶり。2026年は、日本の第1次南極観測隊が出発して70年の節目の年でもある。(中山由美)