ぴあらいふの障害者グループホームで暮らすパチンコ依存症の女性。カレンダーの△印の日はパチンコに行きたくなっても我慢した日。この月は×印がゼロ。1度も行かずに過ごせた=2024年5月24日、大阪市旭区、遠藤真梨撮影

 「お疲れさまでした」。昨年7月18日、大阪拘置所(大阪市都島区)から出てきた女性(57)に、男女が声を掛けた。

 「ご迷惑をおかけしました」と頭を下げた女性はこの日、古本店で17冊(約3万5千円相当)を万引きした罪で懲役1年6カ月、執行猶予3年の判決を受けて釈放された。2人は「こんな経験は二度とせんようにしてくださいね」と諭した。

 出迎えた男女は、障害者グループホームを運営する同市旭区のNPO法人「ぴあらいふ」を創設した理事の中岸宏隆さん(63)と妻で代表理事の真実さん(54)だった。

 女性は10年ほど前から毎日のようにパチンコに通い、ギャンブル依存症で精神科クリニックに通院。発達障害もある。クリニックの紹介で、ホームに入ったのは昨年2月。しかしパチンコの誘惑は断てなかった。管理してもらっている生活保護費から平日に1千円ずつ受け取っており、数千円を握りしめて隠れて通った。

 それでも足りない時は、古本店で話題本を万引きし、すぐ同じ店で売る犯罪を繰り返していた。

 娘がいるが、パチンコと万引…

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