凄腕しごとにん 清原正勝さん(64)
TOTO フェロー
トイレでおなじみのTOTOで、セラミック分野の知見をいかし、半導体製造装置に不可欠な技術を実用化した。
スマートフォンや家電、自動車など、あらゆる機器に組み込まれる半導体だが、ナノ単位(1ナノ=10億分の1)の超微細な技術でつくられている。基板に電子回路を形成する作業では、使われるプラズマガスによって装置内部が劣化し、はがれ落ちることがある。肉眼では見えないほどの小さなちりが、不良品の発生につながっていた。
そこで開発したのが、製造装置にコーティングするセラミックの薄い膜だ。「エアロゾルデポジション法(AD法)」と呼ばれる技術でセラミック粒子を高速で吹き付けると、10ナノメートルの微粒子が密着性の高い膜を形成する。膜でコーティングされた部材はプラズマガスに耐性が強く、半導体製造装置ではちりの発生率が100分の1に抑えられた。「ちりの発生はゼロではないが、半導体にはほぼ影響がない。だから、すごく使われています」
スペースシャトルがきっかけで
セラミックに興味をもったの…