勝山館の本丸を守った二重の堀と城壁=筆者撮影

北の山城・下

 北海道上ノ国町にある国史跡上之国館跡を訪ねて、今回も北の中世史をたどる。史跡上之国館跡は、花沢館、洲崎館、勝山館の三つの城跡が構成している。今回は勝山館を探検したい。勝山館は1470年ごろに蠣崎(かきざき)信広が築いた山城で、標高159メートルの夷王山(いおうざん)から派生した標高100メートル、比高94メートルの尾根上にある。勝山館はこれまでの蠣崎氏の拠点であった花沢館、洲崎館とは異なった本格的な山城で、信広の飛躍を物語る。

 一般に、麓(ふもと)と山城との高さの差である比高は、その山城を築いた武士の力の大きさに比例した。村のお殿様の館や館城は集落との比高はせいぜい50メートルであったのに対し、戦国大名だと100メートル以上の比高差がある山に城を築くことが多かった。

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 勝山館は上ノ国町が計画的な…

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