大学医学部の定員増に反対する医者ら=2024年3月25日、ソウル、太田成美撮影

 韓国の大学医学部の定員増を柱とする医療改革をめぐり、政府と医療界が対立している問題で、ソウル高裁は16日、増員の停止を求めて医療界側が申し立てた仮処分申請を棄却した。韓悳洙(ハンドクス)首相は「大きな峠を越えた」として増員を進める方針を示した。医療界側が今後、反発を強める可能性があり、病院など現場の混乱は当面、続くとみられる。

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 ソウル高裁の発表によると、韓国政府が打ち出した2千人の増員を取り下げると「公共の福祉に重大な影響を及ぼす恐れがある」と判断した。一方で「医学部生の学習権の侵害が最小化されるよう措置する必要がある」とも求めた。

 医療界側は不服として大法院(最高裁)に再抗告する方針。速やかな審理を求めているが、政府側は近く増員を正式に決定する見通し。高裁の判断を受け、韓国メディアは「増員は秒読みに入った」(聯合ニュース)と報じている。

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