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記者会見する東京都品川区の森沢恭子区長=2025年2月5日、東京都品川区、野田枝里子撮影

 東京都品川区は5日、区立小中学校の給食の全野菜を有機農産物(オーガニック)にすると発表した。安全・安心な給食の提供で、給食の質の向上を図るとしている。区によると、全野菜を有機農産物にするのは都内初という。

 区では2023年4月から区立学校の給食を無償化しているため、オーガニック化による保護者の負担はない。対象となるのは小学校31校、中学校9校、義務教育学校6校の区立学校の全校。10月から導入する予定という。

 各学校の特別メニューなどの給食を除き、給食食材の全ての野菜について原則、化学肥料や農薬を使っていないものにする。代わりに、環境に配慮した栽培方法で生産された有機農産物や、特別栽培農産物を導入する。

 区によると昨年実施した森沢恭子区長とのタウンミーティングで、中学生から「給食を無償化してから質が落ちた」「おいしい給食が食べたい」などの意見が出ていた。23年に行った区民へのアンケートでも、給食の質に対する意見があったという。

 10月から1食あたりの単価が12円増額する見込みで、オーガニック化にかかる費用として、新年度当初予算案に約2800万円を計上する。無償化と合わせた学校給食費は、約17億円になるという。

 品川区は24年度予算から、事業の「無駄」から財源を捻出し、人々の不安を解消して幸せを感じられる施策を盛り込んだ「ウェルビーイング予算」を掲げている。区立小中学校の「学用品」の無償化を実現したほか、25年度から区立小学校、義務教育学校の全37校で「朝の居場所」設置や朝食支援事業に取り組むとしている。

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