「中原工房」について説明するジェクトの市川功一社長=2024年11月19日、川崎市中原区、稲石俊章撮影

 タワーマンションが立ち並ぶ武蔵小杉駅(川崎市中原区)の隣駅、JR武蔵中原駅。この駅の近くに本社を置く総合建築不動産会社ジェクトは、創業104年。主に賃貸マンションの建設やマンションの仲介・管理を手がける。

 武蔵中原駅を中心とした半径5キロのエリアを商圏として、あえて拡大しない、「地域密着」の経営方針を掲げている。

かつては市外に拠点を置いたことも

 1998年に就任した3代目社長の市川功一さん(71)は「当初から意識していたわけではなく、結果としてそうなっただけ」と説明する。

 高度経済成長期には、地元の小学校建設など官庁発注の工事が収益の大半を占めていた。

 その後、駅の周辺では、農業をやめて賃貸マンション経営に切り替える農家が多く出てきたため、マンションが完成した後も物件の管理や仲介を積極的に引き受けてきた。

 かつては商圏を広げようと、横浜市港北区に拠点を置いたこともあったが、うまく行かず「地域密着」に行き着いたという。

 現在、駅から半径5キロのエリアに自社が建設したマンションが約1100戸、管理する物件は約4400戸ある。この約4400戸はエリア全体のシェアでは約5%にあたる。

 川崎市の将来人口推計では、中原区は2040年ごろまで人口が増える見通しで、「商圏を広げなくても、やれることはたくさんある」。

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