後半、ゴールを決め喜ぶ浦和の武田英寿(右端)=内田光撮影

 (22日、J1 浦和レッズ2―2鹿島アントラーズ)

 意表を突くゴールだった。

 1点を追う後半の追加時間2分、浦和は敵陣左サイドでFKを得た。キッカーのMF武田英寿はボールに向かって走り出した瞬間、相手GKが前にいるのが見えた。キャッチされるかもしれないと頭をよぎったが、「覚悟を決めた」。手前のポスト脇からゴールを狙った。クロスを待つ両チームの選手をあざ笑うように得意の左足で直接蹴り込んだ。

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 試合開始直後に失点し、前半終了間際にも追加点を奪われた。ハーフタイムにはサポーターからブーイングが出るほど、浦和にとって散々な前半だった。

 空気を一変させたのが武田だ。後半31分から出場すると、直後に自身J1初得点。FKと合わせ、勝ち点1をもぎ取る殊勲者になった。

 堂々としたプレーを見せた武田だが、開幕直後は違った。紅白戦のメンバーに入れず、ピッチの外でパス回しをする日々。それでも居残りで池田伸康コーチらを相手にパス練習を続けた。前節のセ大阪戦では、途中出場から左足でアシストを決めていた。

 ドイツでのシーズンを終えたOBの原口元気が、先週から練習に参加していた。欧州で活躍する先輩から「クロスが良い」と技術を評価された。その自信もこの日の思い切ったプレーにつながった。

 チームはリーグ戦で中位に沈む。「一番は試合に勝つこと」。試合後の喜びは控えめだった。上位に食らいつくためには、武田の左足が鍵になる。(藤野隆晃)

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