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ノックを打つ横浜清陵の吉沢
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 第97回選抜高校野球大会に、21世紀枠で出場する横浜清陵(神奈川)。13日、阪神甲子園球場であった練習で「急造ノッカー」が登場した。

 30分間の練習の冒頭、ノックバットを手に本塁付近に立ったのは背番号「19」。本来は外野手の吉沢亮(3年)だ。

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 フェンス際に打ち上げたかと思えば、内野と外野の間にふらふらっと落ちる絶妙な打球を披露。フライを追う際の視界を確認しようというチームの狙いを踏まえ、様々な種類の打球で練習に貢献した。

 ノッカーに決まったのは前夜のミーティング。左でノックを打てる指導者がおらず、左打ちの選手から選ぶことになった。

 仲間たちが口をそろえて「左なら、吉沢」と推薦。引き受けたという。

 たまに練習でノッカーを務めることもあるが、不慣れな役回り。「いつも先生が簡単そうに打ってるから、できると思ったんですけど。満足いく打球は3割くらいでした」と苦笑いで振り返った。

 ただ、楽しさもあった。打ったら走らなければならない通常の打撃と違い、自分が打ち上げたボールの行方をじっくり目で追えた。

 「上を見たら空と打球だけで。いい景色でした」と吉沢。「もしノッカーにはまるとしたら、今日がきっかけかもしれません」と笑った。

 21日に迎える初戦の相手は、昨秋の明治神宮大会で準優勝した広島商だ。「九回が終わって1点でも相手を上回っていればいい。内容も大事だけど、勝って終われれば」と意気込んだ。

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