高松刑務所での教科指導。国語講師の石川志保さん(中央)はこの日、刑務所の中でも暦を知って生活に潤いをもってもらえればと、二十四節気を教材にした。オカダさん(左)もその漢字の書き取りに励んだ=2024年1月24日午後1時29分、高松市松福町2丁目、多知川節子撮影
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 「社会での生きづらさに気づかれなかった人が刑務所に多く来ている」

 刑務所での勤務経験もある龍谷大学の浜井浩一教授(犯罪学)はこう指摘する。2025年6月施行の改正刑法で、刑罰の目的が「懲らしめ」から「立ち直り」に大きく転換するのを前に、刑務所での教育や作業はどうあるべきか、浜井教授に聞いた。

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 ――犯罪白書によると、22年の刑法犯のうち再犯者の占める割合は47.9%。過去最高の49.1%だった20年から微減したものの高止まりしています

 その年に検挙された人のうちどれだけが再犯者かを示す「再犯者率」は上昇傾向ですが、実は再犯者数は減っています(ピークは06年の約15万人。22年は約8万1千人)。ただ、それ以上に初犯者数が減りました(ピークは04年の約25万人。22年は約8万8千人)。検挙者数という分母が小さくなっているため、再犯者率が高くなるのです。

基礎学力を欠くことで再犯を繰り返してしまう受刑者の学び直しを追ってきた記者が、犯罪学者に刑務所のあり方を聞きました。改正刑法の趣旨を現場で生かす改革のカギとなるものとは――。

 初犯者が減るのは良いことですが、逆に言うと、再犯者は減りが鈍いということです。

障害や認知力の課題に気づかないケースも

 ――その要因は何でしょうか

 窃盗や無銭飲食などの詐欺は…

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