イスラエルとイスラム組織ハマスが1年以上にわたり戦ってきたパレスチナ自治区ガザでは、空爆が続き、食料や物資も乏しい中、冬の寒さが住民らをいっそう厳しい状況に追い込んでいた。国連児童基金(ユニセフ)によると、昨年12月26日からの約2週間で、8人の乳幼児が低体温症で亡くなったという。乳児の遺族は、停戦直前に朝日新聞通信員に当時の状況を語り、「どうか戦争を止めて」と訴えていた。
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冷たくなった娘の体、服も毛布も足りず
昨年12月25日、とても冷え込む夜だった。ガザ南部マワシ地区のマフムード・アルファシーラさん(31)が通信員に語ったところによると、午前3時過ぎ、テントのなかで妻ナリマンさん(21)は、生後22日の娘シーラちゃんにミルクを与えたあと、顔つきが変わったことに気づいたという。
マフムードさんはたいた火を急いでテントに運んだが、娘の身体は冷たくなっていた。妻は「どうにかして」とぼろぼろと泣きながら訴えた。4歳と3歳の子どもたちも泣いていた。
「なんとかして娘を温めよう…