東京・霞が関の法務省

 有罪が確定した裁判をやり直す再審制度のあり方について、法務省は来春にも法制審議会(法相の諮問機関)に諮問し、見直しを検討する方針を固めた。法務省関係者への取材でわかった。再審は、刑事訴訟法に定められた冤罪(えんざい)被害を救う手段だが、救済へのハードルが高く、法改正を求める声が高まっていた。

  • 【解説人語】再審制度見直し?何が変わるのか 背景に袴田さん無罪

76年一度も変わらず

 再審に関する規定は、現行の刑訴法が1948年に制定されて以降変わっておらず、見直されれば刑事司法の大きな転換点となる。

 再審制度を巡っては今年9月、静岡県で起きた一家4人殺害事件で死刑が確定した袴田巌さんに44年を経て再審無罪が言い渡され、再審無罪の決め手となった検察の証拠開示のあり方や審理の長期化など、制度の問題点が浮き彫りとなった。10月には福井県で38年前に起きた女子中学生殺害事件で服役した男性の再審公判の開始が決定。法務省内には法改正に慎重な意見が根強いが、関係者によると、世論の高まりなどを受け、再審に特化した議論の場を設ける必要があると判断した。

 法制審は学識経験者や実務家で構成され、法改正の是非などを議論して法相に答申する機関。具体的な制度のあり方をめぐって意見が分かれることも予想され、議論のとりまとめには年単位の期間が必要との見方もある。

ルール乏しく、審理長期化

 再審は、裁判所が再審開始を認めるかを「再審請求審」で判断し、開始が確定すれば「再審公判」を開く2段階の手続きがある。再審開始には「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠」が必要で、再審開始が確定すれば無罪になる可能性が極めて高い。

 制度の議論で焦点となってき…

共有
Exit mobile version