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荻野明彦・大和証券グループ本社社長=東京都千代田区、吉田耕一郎撮影
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2030 SDGsで変える

 金融機関でありながら、大和証券グループ本社は再生可能エネルギーや農業にも力を入れています。荻野明彦社長にその狙いをたずねました。

 ――なぜ再エネに積極投資しているのですか。

 もともと太陽光や風力発電所への投資はしていました。ただ、証券ビジネスは好不調の波が激しいので、経営を安定させるため、今は事業のひとつとして取り組んでいます。SDGsに貢献できる点も魅力的です。子会社を通じ、太陽光は国内外34カ所、風力は海外3カ所の発電所に投資してきました。

 ――農産物の栽培にも取り組んでいます。

 多くの農家は小規模で収益性も低く、後継者不足に悩んでいます。こうした「三重苦」の解決には大規模化を進め、生産性を上げて持続可能な農業を実践しないといけません。2018年に子会社をつくり、静岡と北海道でパプリカ農場を購入して運営しています。当社の調査によると、パプリカで国内2番目の収穫高を誇る会社になりました。農業も太陽光も風力も、投資した資産を金融商品にすることで、顧客に販売することをめざしています。

 ――SDGsやESG(環境・社会・企業統治)関連の投資はまだ増やす必要があります。

 日本におけるESG投資は世界と比べても進んでいるといえます。ただ、投資家の大半を機関投資家が占めています。資金調達のすそ野を広げるため、個人が投資しやすい環境を整えることが大切です。投資家保護の仕組みが大切なので、人工知能(AI)を使い、リスクの高い商品を選別するシステムの運用を試験的に始めました。

「女性が辞めない会社にしたい」

 ――女性取締役の比率を半分…

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