デフサッカーを学ぶイベントで、反則があった時に主審が旗で知らせることを子どもたちに教える選手たち=2024年12月14日、東京都江東区

現場へ! デフリンピックが来る(5)

 北風が強く吹きつける昨年12月、東京都江東区のグラウンドに約50人の小学生が集まった。今年11月に東京を中心に繰り広げられる聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック」に向けたイベントが開かれていた。

 デフサッカーのデモンストレーションでは、選手が足をかけられて倒れ込むと、主審役がサッカーのように笛を吹くのではなく、旗を上げた。別の選手が子どもたちに向け、こう解説した。

 「デフサッカーでは選手が笛の音に気づけないので、主審は旗で反則を知らせます」

 このイベントは、デフリンピックの主催者でもある東京都が機運醸成を目的に、日本ろう者サッカー協会やサッカーJ1・FC東京の協力を得て、デフフットサル日本代表も招いて開いた。子どもたちはデフリンピックの歴史や簡単な手話を学んだほか、デフサッカーの元日本代表選手らのボールさばきに見入った。

 このイベントには、もう一つの狙いがあった。

 参加した52人のうち、聴覚に障害のある子が17人いた。特別支援学校にチラシを置いたり、募集要項に「聴者・ろう者混合」と書き込んだりして、聴覚障害のある子が参加しやすいようにしたのだ。

 ミニゲームもあり、子どもたちは一緒になってゴールを目指した。健聴者の小学4年生、柘植楓子(10)は「(聴覚障害のある子と)アイコンタクトでやり取りして仲良くサッカーができた」と話した。

 都の国際スポーツ事業課で事業推進担当課長を務める八重樫真由美(51)は「大人的な表現をすれば『共生社会』とは何かを学ぶことができる。障害の有無にかかわらず同じことをした、という経験が子どもたちに残るだけでも意味があると思う」と語る。

冊子34万部を都内全小学校に配布

 都はこうしたイベントの他に…

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