大横綱・大鵬が育った北海道東部の名湯の一つ、川湯温泉(弟子屈町)が変わろうとしている。自然体験型観光を目玉に、屋台が並ぶ横丁なども検討される。その中で、かつてあった公衆浴場の復活プロジェクトが立ち上がった。
硫黄の香りが立ちこめる川湯温泉街の中心部に「川湯公衆浴場」がある。昭和30年代に開業。強酸性の熱湯とぬるめの湯が自慢のこぢんまりした施設だ。地元客の湯治場としてだけではなく、観光客にも愛されてきた。
だが2年前、経営していた男性が高齢を理由に休業。後を託されたのが、親交のある釧路市の左官業、中野吉次さん(78)だ。
6月から本格的に始まる改修工事では、外壁を鏝絵(こてえ)で飾り、休憩スペースには川湯にまつわる郷土資料を展示する。阿寒摩周国立公園にある川湯温泉の立地を生かし、男湯の壁は硫黄山、女湯は摩周湖のタイル絵(幅5メートル、高さ2.5メートル)で彩る。
郷土資料は中野さん自身が50年以上かけて、集めたものだ。
中野さんは秋田県出身。中学…