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20年ぶりの秋季関東大会出場を決めて喜ぶ宇都宮工の選手たち=2024年10月5日、宇都宮清原球場、津布楽洋一撮影
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 26日に神奈川県で開幕する第77回秋季関東地区高校野球大会(関東地区高校野球連盟主催)に、宇都宮工が20年ぶり(18回目)に出場する。大会に参加する7県の代表15校のうち、公立校は宇都宮工だけ。栃木県内の高校野球は公立校躍進が目立っており、宇都宮工もその勢いに乗れるか、期待が高まっている。

 夏の選手権栃木大会では、2005年の宇都宮南を最後に、10連覇した作新学院など私立校の優勝が23年まで続いた。春の選抜大会も13年の宇都宮商のあと、県勢で甲子園に出たのは私立校だった。

 流れを変えたのは、23年の選抜に21世紀枠で出場した石橋だ。今夏の栃木大会では、作新学院、国学院栃木を破って頂点に立った。関東勢で唯一の公立だった甲子園でも初勝利を挙げた。

 今年の春季関東大会には、宇都宮商が出場。公立は前橋商(群馬)と2校だけだった。

 宇都宮工も石橋の躍進に刺激を受けたという。

 宇都宮工は今年創部100周年の伝統校。大森一之監督は、母校で指導30年を超える。チームを2度、甲子園に導き、1996年春には8強に進出した実績がある。

 ベテランだが、従来の指導方法にこだわる気持ちはない。「指導する高校生の年齢は変わらず、我々は年を重ねて、年齢差は開くばかり。Z世代をどう指導するか。アップデートをしないといけないと痛感する」

 選手たちによく言うのは「言葉で表せ、言語化しろ」ということだという。自分が何をしたいのか、仲間にどうしてほしいのか、きちんと言葉にして伝えることを求めた。今の宇都宮工は「科学技術高校らしく、野球の練習も自分で創意工夫できる選手が多い」という。

 私立の強豪に比べて、入部してくる新入生の力など、差を感じる点はある。それでも「一人ひとりで見たら大したことはなくてもチーム力で勝ち上がる。県立の意地を見せたい」と意欲を隠さない。

 時間をかけて選手を育てる。秋季県大会で準優勝の原動力となったエースの横山健(2年)は、入学時の体重が59キロ。それが73キロまで増えて球速もアップした。「県大会で横山が一本立ちしてきた」と手応えを感じている。関東大会は私学の強豪ぞろいだが、大森監督は「新しいバットで連打が厳しくなり、競ったゲームが多くなる。守りからリズムをつくり、流れをつかみたい」と語る。

 主将の石沢蓮雅(2年)は「チームは厳しいトレーニングを通じて粘り強さが出始めている。県立私立関係なく、自分たちがやってきたことをしっかりできれば負けない」と自信を見せた。

 宇都宮工は26日、1回戦で浦和実(埼玉1位)と対戦する。(津布楽洋一)

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