法事や葬儀を誰に依頼するか悩む人が増えるなか、企業による僧侶派遣サービスや、僧侶自らが出張サービス事業を立ち上げる動きが活発になっている。伝統仏教の宗派などでつくる全日本仏教会は2010年代、企業による派遣サービスについて「宗教行為をサービスとして商品にしている」として批判する声明を出したこともある。約10年が経過した現在の見解について、同会の和田学英事務総長に聞いた。
――企業が僧侶の派遣サービスを多く立ち上げている現状をどう見ていますか。
まず前提として、僧侶が葬式や法要でお経をあげることは、サービスではない。供養の「供」は、人と共にあるということ。心を込めて死者の冥福を祈る行為だ。
派遣されるお坊さんが、本来は弔い方が異なる各宗派の葬式・法要を1人でやっている可能性もあり、実態は分かりづらい。
便利さ、手軽さは理解するが、故人との貴重な別れの場で喪主は不安に感じるのではないか。個人的にはそういうサービスはやってほしくはない。
- 僧侶です、「出張サービス」起業しました 契機となった令和の寺事情
――僧侶自身が出張サービスを立ち上げる例も出てきました。
インターネットが普及したことによる、一つの時代の流れだとみている。信仰の自由との兼ね合いもあり、各寺が事情に応じ、ネット経由で依頼を募ること自体は否定することはできない。
――お布施の金額をホームページで示す例も少なくありません。
望ましくないと考えている。
お布施とは「喜捨」の精神に…