あいち創業館のメイン展示である「偉人との出会いゾーン」。テーブルに流れてくる偉人のアイコンに触れると、名言やエピソードが映し出される=2024年10月25日午後0時11分、名古屋市昭和区、川西めいこ撮影

 「54人全員男性の展示」。そう聞いて一瞬、耳を疑った。11月1日に愛知県が開業した県ゆかりの産業偉人の展示施設「あいち創業館」(名古屋市)のことだ。県の当初の計画には市民からも批判が寄せられ、県は開業が1週間後に迫った内覧会の場で急きょ女性偉人の追加を発表した。今年4月に入社した記者が、その内覧会を取材した。

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 「おお、女性がいる!」

 思わず声が出た。愛知県が新設した国内最大級のスタートアップ支援拠点内にある展示施設「あいち創業館」(名古屋市)に来ている。開業を7日後にひかえた10月25日、県が内覧会で配った資料には、女性企業家6人の名前が並んでいた。

「時代錯誤の展示だ」批判受け見直し

 あいち創業館は、県ゆかりの創業者や企業家の功績を展示するためにつくられた。県の当初の計画で展示対象とされた54人は全員男性で、これに対して市民から「女性の存在を無視した時代錯誤の展示内容だ」との批判の声が上がり、急ピッチで展示内容の見直しが進んでいた。

 新たに展示対象となった女性は、名古屋土産でおなじみの「ういろ」を製造販売する「大須ういろ」や、東海地方最大の繁華街・栄で名古屋三越が入居する「オリエンタルビル」など、地元で親しまれる有名企業の創業者たちだ。大村秀章知事は会見で「まだ女性企業家が少なかった時代に新たな事業を始めたすばらしい方々」とたたえた。市民が声を上げなければ、その「すばらしい」功績は一顧だにされず、埋もれてしまうところだった。

 小中学生らの遠足や見学のためのガイドツアーも開催するとあって、デジタル技術を活用した展示は感覚に訴える仕掛けがちりばめられ、興味深いものだった。

「スーパーレディの流儀」に、はて?

 展示の目玉となる「偉人との…

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