福井県内の原発にたまり続ける使用済み核燃料の県外搬出に向けて、関西電力が県に示した工程の前提が1年もたたないうちに崩れた。主な搬出先とされる日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)の完成が延期になることが23日、明らかになった。
- 27回目の完成延期、使用済み核燃料の再処理工場 MOX燃料工場も
福井県内で7基の原発を稼働させている関電は昨年10月、使用済み核燃料搬出の工程表を県に提示。再処理工場については、原燃が公表する「2024年度上期のできるだけ早い時期の竣工(しゅんこう)(完成)」を前提に、「25年度から再処理開始、26年度から(使用済み核燃料の)受け入れ開始」としていた。原燃は完成を約2年半延期し、26年度中を目指す方向で調整しているという。
この日、経済界などとの会合に出席した杉本達治知事は報道陣の取材に「残念だ。延期はないと聞いていた」と述べた。「もしロードマップ(工程表)に変更があるなら、国や関電にすぐに話を聞く必要がある」と語った。
高浜原発がある高浜町の野瀬豊町長は「原子力利用の安全性を確保する上で必要な工程」と延期に理解を示すコメントを出した。一方で「核燃料サイクルは、日本のエネルギー政策の根幹をなすもので、再処理工場が完成しないことが原子力利用を進める上での大きなボトルネックになっている」と指摘。「国と関西電力は、電力事業者と一丸となって、不退転の決意で再処理工場の早期稼働、使用済み燃料対策、最終処分を含めバックエンドの対策を進めてほしい」と求めた。
県内で稼働する美浜、高浜、大飯の3原発には使用済み核燃料約3800トンがたまる。日本原電の敦賀原発にも約630トン。県は1990年代から県外搬出を求めてきた。
県は再処理工場に運び込むま…