憲法学者で法政大学教授の金子匡良さん=東京都千代田区の法政大学、桜井泉撮影

 ヘイトスピーチなど差別的言動をなくそうと、各地の自治体が人権条例をつくっている。しかし、理念をうたうだけで罰則がないなど実効性に欠ける条例が多い。人権条例づくりに関わったこともある金子匡良(まさよし)・法政大学教授(憲法学)に条例の果たすべき役割を聞いた。

障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年に差別意識に基づく殺傷事件が起きた、神奈川県相模原市の人権施策審議会の委員を務めました。審議会は昨春、ヘイトスピーチを規制する人権条例の制定を本村賢太郎市長に答申しました。その内容は、全国的にもかなり進んだものでした。

 例えば、救済機関として人権委員会を設けて独自の事務局を持たせ、不当な差別事案が起きた場合は自ら調査したり、市長に声明を出すように意見を述べたりできます。著しい差別的言動や悪質な犯罪扇動には、刑事罰か行政罰を科すことも求めました。

 しかし、今春、制定された「…

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