今治東中等教育学校の吹奏楽部員らを指導する佐渡裕さん=2025年1月21日午後3時55分、愛媛県今治市の今治明徳短大、堀江泰史撮影

 指揮者の佐渡裕さん(63)が21日、愛媛県今治市内で吹奏楽部の中高生らを指導した。サッカー元日本代表監督の岡田武史さん(68)が学園長を務めるFC今治高校里山校の授業の一環。佐渡さんと岡田さんの対談もあり、同校の1期生約30人が聴き入った。

 指導を受けたのは、中高一貫の今治東中等教育学校の吹奏楽部員ら約50人。高校野球の応援でよく使われる「アフリカン・シンフォニー」を題材に佐渡さんが指揮棒を握った。

 佐渡さんは「楽譜を読むだけでなく、感じ、筋肉で音を出そう」「扉を開くには自分を信じて勇気を出すこと」などとアドバイス。同校5年で吹奏楽部長の井門月南(るな)さん(17)は「指揮者一人の違いで明らかに音が変わりました。『世界の佐渡』のおかげでもっと音楽が楽しくなりました」と語った。

 佐渡さんと岡田さんは二十数年前、共通の知人だったラグビー元日本代表監督で2016年に亡くなった平尾誠二さんの仲立ちで知り合った。コンサドーレ札幌の監督をしていた岡田さんが、北海道であった佐渡さんが指揮するコンサートを訪れたこともあった。

 吹奏楽部への指導の前にあった2人の対談では、佐渡さんがベートーベンの交響曲第9番を聴かせ、カラヤンや小澤征爾さんら、指揮者で違いがあることを紹介。2人で監督と指揮者の共通点を語った。対談の終盤、佐渡さんは「ティーンエージャーは奇跡を起こす力がある」と呼びかけた。

 FC今治高校里山校の結城舞美さん(16)は「努力、才能、運のほかに感謝が必要だという言葉が印象的でした。これからもっといろんな音楽を聴きたいと思いました」と話した。

 FC今治高校里山校は昨年4月に開校し、全国から入校した1年生33人が学ぶ。これまでにトヨタ自動車の豊田章男会長やテニスの伊達公子さんらを講師に招いた授業をしている。

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